看護の歴史を語るとき、フローレンス・ナイチンゲールを思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし実は、看護の原点はそれよりもはるか昔、紀元前にまでさかのぼります。⏳
人が病気やけがをしたとき、そばに寄り添い、手を握り、水を渡し、体を拭く。
そんな「付き添う」行為こそが、最も古い形の看護だといわれています。
当時の人々に医療という概念はありませんでしたが、
“誰かを支えたい”という思いは本能的に存在していたのです。
紀元前の記録にも、病人に食事を与えたり、清潔を保つために洗ったりする様子が残されています。
これらの行為が、後に体系的な「看護」という職能へと発展していきました。🌸
さらに深く見ると、「看護」は家庭の中から生まれたとも言われます。
それが 母親による養育(ナーシング) です。
新しい命は、生まれた瞬間から誰かの支えを必要としています。
母親が食事を与え、体を温め、眠りを守る——。
この行為こそが「いのちを守る」最初の看護なのです。
英語の Nursing の語源も、ラテン語の Nutrire(養う・育てる) に由来しています。
つまり、看護の本質には “生かす力を育む” という意味が込められているのです。🌱
現代のような医療制度が整っていない時代から、
人の思いやりや支え合いの心によって、看護は形づくられてきました。
どれほど技術が進化しても、
その根底には「人のいのちを大切にする」という普遍的な思いがあります。
この精神は、現代の訪問看護にも受け継がれています。
病院ではなく、ご自宅という生活の場で支えること。
それは、まさに古代から続く“人に寄り添う看護”の現代版ともいえるでしょう。🌼
看護の始まりを知ることで、
今自分たちが行っているケアの意味を、より深く理解できるようになります。
看護師は、医療の最前線に立つだけでなく、
人と人とのつながりを紡ぎ、心を支える仕事でもあります。
その原点は、数千年前から変わらない「いのちを大切にする心」。
私たちが訪問先で患者さんに寄り添う姿は、
古代から続く看護の歴史の延長線上にあるのです。🌈